[デスクフリーなディスプレイ] 奥行きの小さいデスクでディスプレイと目の距離を離すために

ディスプレイと目の距離を離したいがデスクの奥行きは短い。かといってデスクの買い替えはしたくないといった欲求に答える手段としてデスクの上にディスプレイを置くのをやめ、専用台座にモニターアームごと設置し移動できるようにしたデスクフリーなディスプレイを提案する。

個人的に大成功だったので同じ悩みを抱えている人のためにもメモを残す。

導入

ディスプレイを見る時間が長くなり目のためにもなるべくディスプレイと目の距離を離したくなった。
だがデスクの奥行きが制限になりディスプレイを離すのにも限界がある。
モニターアームを使うのは悪くなかったが、モニターアームというのは基本的にディスプレイのx軸とy軸に自由を与えるものでz軸については基本近づける方向にのみ自由を与える。奥に押しやり離すこともできなくは無いが、重心がデスクの端になり不安定になるし、アームポールもそちらの方向には強くないのでおすすめはできない。

また、ディスプレイが増えた分デスクのスペースが減った。
普通にノートとか飲み物を置くにも狭い。

これらを解決する一番最もな手段は奥行きのあるデスクに買い替えかつ、モニターアームを使用することだが、この解決方法に対して自分は積極的ではない。

デスクの変更はコストが高い

個人的にデスクの変更は色々コストが高い。
まず既存のデスクを処分する必要がある。気に入っているデスクは処分したくないし、どうでもいいデスクだとしても処分は面倒だ。
新しいデスクに関しても制約が多い。
まずはサイズ。なかなかちょうどのサイズのデスクはない。高さ調整できるデスクは増えてきたが面積可変はほぼ見たことが無いので購入時に決める必要がある。
小さい場合はまだいい。追加するなり我慢するなりで対応できる。
問題は大きいときだ。デスクを削ったり切ったりするのは見た目やそもそものデスクとしての機能を損なう場合がある。
それに模様替えや引っ越しなどを考えるとその時その時で丁度なサイズのデスクは変わってくる。
デスクはあまり買い替えたくない。

モニターアームは便利だけどそこま便利でもない

モニターアームは便利だがそこまで便利でもないというのが使ってみての本音だ。
「モニターアームにしてデスクが広くなりました」というのを見つけるがモニターの下の空間なんで正直わずかで、ぶっちゃけモニターアームのポールの固定台が占める面積はモニター付属のスタンドの面積とほとんど変わらない(複数ディスプレイなら恩恵はある)。
モニターアームは適切なxyz軸にするためにアームを曲げて調整する。ポールの位置によっては理想のxyz軸にディスプレイを設置できずポールを移動する必要が出てくる。ポール自体の移動は頻度こそ少ないが面倒だ。ディスプレイを破損したりデスクを傷つけたりするリスクもある。

またモニターアームを使う場合、デスクがモニターアームを設置できる必要がある。
アームポールをつける箇所はある程度の強度ときれいに直角である(R加工されていてはだめ)必要がある。グロメットマウントすればいいという意見もあると思うが、グロメットマウントする場合はデスクに穴を開ける必要や、穴が開けられる必要がある(引き出しがあるとだめとか)。またポールの移動時には穴を開け直す必要があり、トライアンドエラーしにくい。

モニターアームはディスプレイを顔に近づけるのは得意だが、逆に遠ざけるのは苦手だ(と思っている)。
アームポールにぶつかったり、そもそもアームの長さが足りなかったり、重心がデスクの足から出てしまったり(不安定になる)と遠ざけるのは難しい。

以上のことから「奥行きのあるデスクに買い替え」and 「モニターアーム」は避けたい。

そもそものメインの目的は「ディスプレイから目を離すこと」だ。よく考えると「デスクを大きくする」のは「ディスプレイから目を離すこと」を達成するための一つの手段であって目的ではない。他の目的(ものを置きたい)とかを同時に解決できるからそれしか考えられなかったが他にも手段があることに気がついた。
自分の欲求を整理しよう

  • 既存のデスクを使いたい(買い替えはコストが高い)
  • ディスプレイから目を離したい。最低でも90cmくらい(一番の目的)
  • ディスプレイはxyz軸全てに常識的な範囲で自由であってほしい(可能であれば)

これらを解決する手段として思いつくのはディスプレイとデスクを独立させることだ。
とりあえずこの方法を「デスクフリーなディスプレイ」と呼ぶことにする。

既存手法

デスクフリーなディスプレイを実現できる既成の製品は存在する。
こういうキャスター付きのテレビスタンドだ。

決してこれも悪くない選択だが、複数ディスプレイを使いたいので選択から外れる。
複数ディスプレイに対応した製品もないわけじゃない。
これとかは複数のディスプレイに対応している。
ただ高い。10万近くは流石に試すにも厳しいし、ディスプレイの位置についても自由度も低そうだ。縦に2枚並べるとかしたいんだ!

そこでこれに近いものを自作することにした。

提案手法(デスクフリーなディスプレイ)

ということで作ったのが結果がこれ
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必要なものはキャスター付きの台座とモニターアーム。
要するにモニターアームを設置できてかつ移動できるものを作れればいい。

まずは台座としてメタルラックを選択。メタルラックである必要はなく、次の条件を満たせばいい。

  • モニターアームのポールがつけられる(安定もする)
  • ディスプレイを複数載せられる耐荷重があること。メタルラックならそれなりに大丈夫
  • キャスターで移動できる。地震対策やレイアウト変更、用途を幅を広げるのに役立つ

今回は小さいやつを買った。

重心バランスは悪くなるが小回りがきくし、床面積も取らない。結論から言うと耐荷重も問題なかった。
より重いものを乗せるなら22mmではなく35mmとかのメタルラックにしたほうがよい。
背が高いのを買ったのは半分にして別々に使うため。


そしてモニターアームとポール。

アームは有名なエルゴトロンのLXデスクマウントモニターアーム。AmazonやHPのOEM製品も同じなので色や値段で決めていい。
今回はこれを2つ購入。
また長いアームポールがほしいのでこちらを購入。径が35mmなのでエルゴトロンも問題なく使用できた。

今更だが、エルゴトロンにはロングポールがあるのでこちらをおすすめする。

ぶっちゃけ70cmのところにアームをつけることはないだろうし(バランスが悪すぎ)、安定感も違うので少々高くてもエルゴトロンのロングボールを購入することをおすすめする。

また、ポールを短くして台座のメタルラックを高くするのもありだったが、モニターの下方向への自由度が減るのでそれは棄却した。

メタルラックを組み立て、アームポールをメタルラックに取り付ける。取り付けるときは木の板やアームポールの補強板を使った方がいい。

なくてもいいかもだが、あったほうが圧倒的に安心だ。事故ってディスプレイを修理するのに比べれば安い。
自分はメタルラック用の板とホームセンターで買った木の板、そして補強板を利用した。
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補強板やアームポール、木の板にはそれぞれ両面テープを貼った。滑り止めのゴムは付いてるが意外と滑る。両面テープのが安心。

メタルラックの重心を安定させるために下を物置にして荷物を置いたほうがいい(なるべく重いもの)。
自分は使わなくなった裁断機を置いてる。デスクトップPCを置いてもいいかもしれない

これで移動式のモニター台が完成した。
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使っているディスプレイはEIZOのEV2736という骨董品(右側)と下記の2つ。

EV2736と上のEV3895をモニターアームにつけ、下のU4919はEV2736のスタンドに取り替えてメタルラックの上に置いた。
U4919の純正スタンドは下までディスプレイを下げられなかったのでEV2736のスタンドに変更した。
なおU4919はエルゴトロンLXでは少々きつかった(締めてもお辞儀しそうだった)のを報告しておく。
EV3895はエルゴトロンLXで安定してる。エルゴトロンLXの対象の大きさではないので自己責任で。

3つとも重量級のディスプレイだが安定している。

結果

このデスクフリーなディスプレイにしたことで様々なメリットがある。

既存のデスクのままディスプレイから目を離せる

モニター台を移動することでディスプレイから目を離すことができるようになったのでデスクの買い替えは必要ない。
なんならテレビの視聴距離まで離すことも可能だ。
お気に入りのデスクとかをそのまま流用できるし、買い替えのリスクから開放された。

デスクを広く使える

モニターアームを使ってもアームポールをつけた部分に面積を取られるし、浮かせたとはいえディスプレイとデスクの間はそこまで大きくないので下におけるものは限られている。
ディスプレイがデスクから独立したのでデスクを完全に自由に使えるようになった。
ディスプレイを置かないならデスクは奥行き60cmもあれば十二分だ。

デスクの制約から開放される

モニターアームをつけることも無いので天板強度やポールをつけるための形、倒れないための重量等必要ない。
言ってしまえば折りたたみの簡易デスクだって問題ない。
デスクは引っ越し・模様替え等色々制約になる。

ディスプレイの用途の幅を広げられる

移動ができるので、例えばランニングマシーンとかの前に持っていくもよし、ベッドの横に持っていくもよし。
必要なときに必要な場所に持っていける。モニターアームなので高さ調整もそれなりに簡単だ

ディスプレイをデスクより下げられる

ディスプレイは並べても縦横2枚が最大だと思っている。つまり最大4枚だ。
一時期横に3台並べたこともあったが、見た目はそれっぽいが端から端までの移動は正直辛く実用的ではなかった。
目線の移動はディスプレイ2枚までが現実的だ。
横は制約もすくなく2枚は難しくない。問題は縦2枚でこれが以外と厳しいと気がついた。
自分が大きめのディスプレイを使っているせいもあってか縦に2枚並べるとどうしても正面にディスプレイを持ってこれないのだ。
個人的に1枚は顔の真正面に、もう一枚は多少傾けてその下に欲しい。しかし、ディスプレイの縦が大きいと下のディスプレイの傾きが顔のに向かず天井を向いてしまいどうにも使い勝手が悪い。
そこでこのデスクから独立したディスプレイが役にたつ。
デスクから少々離れると、ディスプレイがデスクより多少低い位置にあっても見える(角度的に)。

こんな感じ。
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なので大型(ここでは27インチの縦幅を想定)ディスプレイでも縦に並べることができる。

デメリットについても書いておかないとフェアじゃないので書くが、正直ほとんどない。

見た目

メタルラックに棒が生えててそこにディスプレイがうようよしている。決して見た目は良くない。
まあでも基本的にデスクの奥に置くのでメタルラックもポールもそんなには目立たない。なにより仕事部屋におくものなので仕方がないだろう。
自分は見た目を気にしない(デスクの奥で気にもならない)。

地震対策

重量のあるデスクにモニターアームでくっつけてるわけでは無いし、重心がかなり上にあるのでバランスも悪く地震に強いとは言えない。
ただ足がキャスターなので揺れに多少は強いはず。メタルラックを大きくすれば多分地震耐性が上がるだろうが床の専有面積も増える。
このあたりはバランスだろう。

逆にデスクにものが置けないかも(ディスプレイをデスクより低くすると)

デスクより下にディスプレイをおけるようになったのは良かったがあまり背の高いものを置くとディスプレイが見えなくなる。
まあそんなに背の高いものを置かなければいいんだけど。
置くにしても手前にすればよい。

正直デメリットはこれだけで(地震は少々見過ごせないが)メリットのほうが大きく上回る。

おわりに

個人的にこのデスクフリーなディスプレイ環境は非常に気に入っている。
机が広くなったし、机の移動もしやすくなった分、掃除もしやすくなった。
作業用デスクとディスプレイを置く場所は別にすべきだ。

  • ディスプレイを顔から離したい
  • デスクの買い替えはしたくない

といった方は是非とも試してみて欲しい。

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ケーブル周りはなんとかしたい(やらないだけ)。